アメリカと中国がトップ同士で話を進める中、日本は置いていかれない?
アメリカと中国が頭ごしに話を進める心配や、味方の国にも同じルールを求めるべきかを聞かれ、総理は「日本の利益を一番大きくするため、冷静にやる」と答えました。
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このやりとりを、はじめから終わりまで、はしょらずにやさしい言葉で追います。

国会での答弁
高市総理は、こう答えました
党首討論・2026-05-20・質問:水岡俊一(立憲民主・無所属)
まず、いまの状況のおさらい
立憲民主党の水岡俊一です。
日本とアメリカが組むこと(日米同盟)は、とても大事です。
そこは私もしっかり認めています。
でも、それと「アメリカに全部おまかせの外交」は、別の話です。
ここを前提にお話しします。
今月、トランプ大統領が中国を訪れて、習近平主席と会いました。
一方で、日本と中国の関係は、去年の総理の発言のあとから、かなり冷え込んでいます。
中国は1月に、軍事にも民間にも使える品物の輸出を規制しました。
レアアース(精密機器に欠かせない希少な金属)の輸出も、厳しくしています。
そのせいで、日本の会社が大きな打撃を受けています。
日米同盟は、日本とアメリカがお互いの安全を守るために協力すると約束した関係のこと。水岡さんは「同盟は大事」と「全部おまかせ」は別だと整理しています。
昔も「日本飛ばし」があった、という指摘
歴史を振り返ってみます。
1998年6月、アメリカのクリントン大統領が、日本を素通りして中国を訪問しました。
このとき、日本政府は大きな衝撃を受けたと聞いています。
これが、いわゆる「日本飛ばし(ジャパン・パッシング)」です。
今回をすぐに同じだと決めつけるつもりはありません。
でも、アメリカと中国が日本の頭ごしに大事な取り引きを進めることは、外交の歴史が何度も警告してきました。
昔には、『朝海(あさかい)の悪夢』という言葉もありました。
ジャパン・パッシングは「日本飛ばし」とも言い、アメリカなどが日本を素通りして他国と直接話を進めること。『朝海の悪夢』は、同盟国に取り残される不安を指す古い外交の言葉です。
米中の会談、日本にとってどういう意味?置いていかれない?
そこで、総理に二つおたずねします。
一つ目です。
こういう背景で行われたアメリカと中国の会談を、日本の外交にとってどういう意味があると評価していますか。
二つ目です。
日本の利益が置いてけぼりにされる心配は、ないとお考えでしょうか。
ここで水岡さんは総理に二つの質問を投げています。①米中会談の評価 ②日本が置き去りにされないか、の2点です。

総理「米中が話し合うのは大歓迎」
まず、米中会談の評価についてお答えします。
アメリカと中国がしっかり意思を通じ合わせること。
そして、この地域の平和が保たれること。
これが一番大事だと、私は思っています。
ですから今回の米中会談は、大いに歓迎しています。
「意思疎通」は、お互いの考えをきちんと伝え合うこと。総理は米中が話し合うこと自体を前向きに受け止めています。

総理「日本飛ばしにはなっていない」
ジャパン・パッシングのお話もありました。
でも、日本飛ばしにはなっていません。
やってきたことを順にお話しします。
- 3月に私がアメリカへ行って、細かくいろいろお話ししました
- トランプさんが中国へ行く前日にも、ベッセントさんを日本へ送っていただいて、お話ししました
- 訪中の直後にも、トランプ大統領から、飛行機(エアフォースワン)の中から、特に日本の関心事を詳しく説明していただきました
ですから、とてもいい形だと思っています。
ベッセントさんはアメリカの担当者、エアフォースワンはアメリカ大統領が乗る専用機のこと。総理は事前・事後に密に連絡を取り合った、と説明しています。

総理「中国とは対話を続けつつ、冷静にやる」
日中関係についても、お尋ねがありました。
日本側は、対話のドアをいつでも開けています。
今も、いろいろなレベルで話を続けています。
そのうえで、私はこう考えています。
日本の利益(国益)を一番大きくするために、冷静に対応しなければならない。
このように考えています。
国益は、国全体にとっての利益・得になること。総理は中国との対話は続けつつ、感情的にならず冷静にやる、という姿勢を示しています。
重ねて指摘「アメリカは中国とトップ同士で経済の交渉を進めてしまった」
日本は、中国との関係まで悪くしてまで、アメリカとの一体感を演出した。
世間では、こう見られています。
それなのに、当のアメリカは、中国とトップ同士で経済の交渉を進めてしまいました。
この点は、私たちの国として、まったくスルーするわけにはいきません。
アメリカはアメリカの利益で動きます。
日本は日本の利益で動かなければなりません。
味方の国(同盟国)だからこそ、お願いしたいことがあります。
日本の利益が置いてけぼりにされないように、しっかり働きかけてください。
同盟国は、お互いを守り合うと約束した味方の国のこと。水岡さんは「味方だからこそ言うべきことは言ってほしい」と求めています。
次の質問「味方の国にも、同じルールを求めるべきでは?」
次に、国際的なルール(国際法)についてうかがいます。
ロシアによるウクライナ侵略について、日本政府は「ルール違反だ」とはっきり批判してきました。
それは、まったく当然のことだと思います。
では、味方のアメリカについてはどうでしょうか。
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃について、総理は『法的な評価は差し控える』という趣旨の発言をされています。
総理、これは本当に日本の外交として正しい姿勢でしょうか。
中国やロシアの違反は批判する。
でも、味方であるアメリカの行動については、評価を避ける。
それでは、国際法ではなく、自分勝手な理屈で物を言っていると受け取られかねません。
国際法は、国どうしが守るべき世界共通のルール。水岡さんは「中国やロシアには言うのに、味方には言わないのはおかしい」と問うています。
「ルールは、日本のような国が生きていくための命綱」
少なくとも、国際法の観点から検証してほしいんです。
そして必要であれば、味方の国にも、言うべきことは言う。
その姿勢がなければ、日本は国際社会で「法の支配」を語る資格を失います。
国際法は、大国を縛るためだけにあるのではありません。
日本のような国が、力ではなくルールで生きていくための命綱です。
だからこそ、味方の国にも、隣の国にも、対立する国にも、同じものさしでルールを守るよう求めるべきではありませんか。
「命綱」とは、それがないと生きていけない大切なもの、というたとえ。水岡さんは、力の弱い国ほどルールが頼りだと訴えています。

総理「いまは法的な評価をしている国がとても少ない」
今の中東情勢について、お答えします。
アメリカについて法的な評価をしている国は、非常に少ない状況です。
主要7カ国(G7)も、私が今朝までいた韓国も、同じです。
今、法的な評価については、専門家の間でもかなり意見が分かれています。
アメリカにも、いろいろな言い分があります。
国連憲章との関係や、イスラエルとの安全保障の関係などです。
各国とも、今アメリカの法的な評価を明らかにすることは、国の利益にならないと考えている節があります。
ですからG7などでも、この評価は、ほぼ取り上げられていません。
G7は日本・アメリカなど主要7カ国の集まり、国連憲章は世界の国々が守ると決めた基本ルール。総理は「今は評価を出している国がほとんどない」と説明しています。

総理「言うべきことは言っている」
私はあくまでも、日本の利益(国益)を一番大きくしたいと考えています。
必要なことは、ちゃんと申し上げます。
トランプ大統領にも、しっかり伝えてきました。
- 中東が安定することが、どれほど大事か
- ホルムズ海峡を、船が自由に通れること(自由な航行)が、どれほど大事か
- 今回のことで、世界経済にどれほど影響が出ているか
こういったことを、しっかり申し上げてきています。
ホルムズ海峡は、中東でたくさんの石油を運ぶ船が通る大事な海の通り道。総理は「言うべきことは言っている」と説明しています。
次の質問「世界の軍事費が過去最高、減らす提案を」
日本のように大国ではないけれど、それなりの力を持つ中くらいの国(ミドルパワー)。
そういう国が、ルールの中で言うべきことを言うのは、大事だと思います。
次に、平和外交についてうかがいます。
世界の軍事費は、2025年、2兆8870億ドルと言われています。
過去最高の水準に達しました。
円にすると、もう400兆円を超えます。
過去10年で、世界の軍事費は4割以上も増えています。
21世紀は、平和の世紀ではなかったのでしょうか。
平和は、遠のくばかりです。
総理、この軍事費を抑えて、平和に向けた国際社会をつくろうと提案すべきだと思いますが、いかがですか。
ミドルパワーは、超大国ではないが、それなりの力を持つ中くらいの国のこと。水岡さんは日本もその一つとして、軍縮を提案してはどうかと聞いています。

総理「日本は平和国家、専守防衛は変わらない」
そうですか。はい。
日本は、戦後ずっと、平和国家として世界に向けて貢献してきました。
これからも、その思いは変わりません。
そして、自分から攻めず守りに徹する『専守防衛』の国である。
この基本も、変わりません。
専守防衛は、自分から攻めることはせず、攻められたときにだけ守りに徹する日本の防衛の考え方。このとき会長から「時間が過ぎたので一言で」と促されています。
この答えだけでは分からないこと
水岡さんの問いは「世界の軍事費を抑える提案をすべきでは」というものでした。
これに対して総理は、日本は平和国家で、専守防衛だと答えました。
ただ、世界の軍事費を減らそうと国際社会に提案するかどうかは、はっきり述べていません。
時間切れだったため、ここでやり取りは終わっています。
この党首討論は申し合わせの時間が決まっています。最後は時間切れで、軍縮の提案については総理の考えがはっきり示されないまま終わりました。
むずかしい言葉だけ、かんたんに
- 日米同盟
- 日本とアメリカが、お互いの安全を守るために協力すると約束している関係のこと。
- ジャパン・パッシング
- アメリカなどが日本を素通りして、中国など他の国と直接話を進めること。「日本飛ばし」とも言われる。
- 国際法
- 国どうしが守るべき世界共通のルール。守らないと「ルール違反」と批判される。
- 同盟国
- お互いを守り合うと約束した、味方の国のこと。ここではアメリカを指す。
- ミドルパワー
- アメリカや中国のような超大国ではないが、それなりの力を持つ中くらいの国のこと。
- ホルムズ海峡
- 中東にある、たくさんの石油を運ぶ船が通る大事な海の通り道。
- 専守防衛
- 自分から攻めることはせず、攻められたときにだけ守りに徹する、という日本の防衛の考え方。
- 国益
- 国全体にとっての利益・得になること。
本当の発言(全文)
上の解説は、下の原文をやさしく言いかえたものです。要約ではなく、国会の記録そのまま。クリックで開けます。
もとの国会記録
- 会議名
- 国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)
- 日付
- 2026-05-20
- 発言者
- 質問:水岡俊一(立憲民主・無所属) / 答弁: 高市早苗(内閣総理大臣)
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アメリカと中国がトップ同士で話を進める中、「日本は置いていかれない?」と聞かれた高市総理。「米中が話し合うのは大歓迎」「日本の利益を一番大きくするため冷静にやる」と答えました。味方にも同じルールを求めるべきという問いには「今は法的評価をする国は少ない」と説明。出典: 2026/5/20 党首討論
「アメリカと中国がトップ同士で話を進める中、日本は置いていかれない?」水岡議員の問いに、高市総理は「米中が話し合うのは歓迎」「日本の利益を一番大きくするため冷静に対応する」と答えました。味方の国にも同じルールを求めるべきという問いには「今は法的評価をする国がとても少ない」と説明。世界の軍事費を抑える提案については「日本は平和国家・専守防衛は変わらない」と答えました。出典: 2026/5/20 党首討論
米中がトップ同士で話を進める中、「日本は置いていかれない?」と聞かれた高市総理は「米中が話し合うのは歓迎」「日本の利益を一番大きくするため冷静にやる」と答えました。味方にも同じルールを求めるべきという問いには「今は法的評価をする国は少ない」と説明。出典: 2026/5/20 党首討論